2011-01-01から1年間の記事一覧

労働の価値

労働とは、各個人が提供できるサービスである。それ以上でもそれ以下でもない。もちろん、やりがいのある仕事に出会った人は幸運だろう*1。しかし大多数の人には苦痛の部分の方が大きい。だからこそ上記のように「各個人が提供できるサービス」とクールに捉…

貢献は見えにくいものかも

テレビを見ていても職人技と言うか常人が真似しがたい技術を持ち上げがちだ。分野は違うが、確かにメジャーリーグのファインプレーなど見ていてすごいと思うし職人技を否定するわけではない。だが職人技は過剰に評価されがちであるように思う。 例えば、職人…

困っている人を助ける

福祉制度の根幹は「困っている人を助けましょう」ということだろう。一見正当化できそうだが、少し考えると不思議なことだらけである。アルコール依存で補助を受ける人はどうなのか。アルコール依存で働けなくなったから福祉の対象になるのか。アルコールは…

奨学金の運営

教育にどこまで政府が関わっていいかというのも難しい問題だが、私案を。まず、教育はすべて民間企業が担う。各社、低価格で充実した教育内容を提供するように教育する。支持されない企業は閉鎖されていく。優秀な人間をとりたいところもあるし、学習が苦手…

親子三代にわたる生活保護

ニュースでタイトルの内容に付いて取り上げていた。 この手の問題でいつも思うのは、親が生活保護だからという環境要因が重視されるが、遺伝的な要因に付いてだれも触れないなということである。もちろん、生活保護になる遺伝子などはないが、困難にチャレン…

フリーランスの牧師

参考文献 10万年の世界経済史 上 p143産業革命以前のイギリスには、フリーランスの牧師がいて結婚の承認を行い、その手数料で牧師は生計をたてていた。まず、結婚を国家が承認していないところがいい。教会の権威を利用しているが単一の機関ではなく、競合す…

教会の貸し付け

参考文献 10万年の世界経済史 下 p41中世の教会は利子をとることを禁じていたが、自分たちは様々な言い訳を用意して貸し付けを行い、利子をとっていた。あるいは差別されていたユダヤ人に金貸しをさせた。

関税は何のため

関税の目的の一つに、国内産業例えば農業の保護があげられことがある。しかし、それを正当化する人が相手国の産業の保護を唱えることはない。なぜだろう。関税を正当化する人は日本と国外で線を引くが、なぜ関東と関西の間や東京と神奈川の間で線は引かない…

効率的なダイエット

Exciteに運動より食事制限の方がダイエットに有効と載っていた。考えてみれば当たり前のことで、ケーキを食べるのはごく短時間だが、そのカロリーを消費するにはかなり運動をしなければならない。ケーキが300-400kCalとすると、だいたい1時間のジョギングで…

革命や独立

思いつきだけれど、記録しておこう。革命や独立運動は現在の社会の仕組みに不満があるから起こるのだろう。無政府資本主義の社会なら、政治の問題は小さくなるはずだから問題はあまり起こらないだろう。また、起こったとしても自治体機能に相当するような仕…

同一労働・同一賃金

同一労働・同一賃金というスローガンは無意味である。各人の人的資本に違いがあることやその時々の労働需要により賃金が変動するからである。だが様々な条件が似ているという前提をつければ、政府の介入などなくとも賃金はあるレンジに収斂してくるだろう。…

なぜ天然痘は根絶できたか

たまには違った方面の話題も痘瘡*1はどうして根絶できたのか。痘瘡自体非常に恐ろしい病気であるが、根絶しやすい条件が整っていた。 1.良く効くワクチンが作りやすかった 牛痘から安全性の高いワクチンを比較的手軽に作ることができた。病原菌によってはワ…

著作権・特許

「10万年世界経済史 下」で産業革命と著作権・特許に関するくだりがある。蒸気機関や紡績機の改良に取り組んだ人はそれによってあまり利益を得ていないというものだ。むしろ貧しい人に利益がもたらされたと。「知的独占*1」も大筋ではそのようなことに触れて…

言葉の違い

外食していて思ッタコト。 「お飲物はいかがですか」と「お飲物は何になさいますか」を比べると飲み物を注文する割合はかなり違いそう。 こういうちょっとした積み重ねが繁盛店と普通の店の分岐点なのかも。

日本人リバタリアン説

いつもコメントを頂いているwasting time?さんが「日本人が忘れつつあるもの」というタイトルでエントリをアップされている。「人様に迷惑をかけない」というのはリバタリアンとしての基本的な感覚によくあうと思う。 困ったと言えば、なんでもしてもらえる…

顕示選好

ある南の島が好きでそこに住みたいという人と話をした。実は私も南の島*1でのんびりしたいと思うことはある。生活の拠点は都市に置きたいのだけれど。 さて、この人にいつ頃移住の予定とか考えているのですかと聞くと夢なのだという。こんな話を聞くと、ひね…

現代のスピノザ

少し無神論の話を続けよう。 この宇宙がどうやって始まったかという問いは、物理学の問題でありながら哲学の領域に入り込む。宇宙論と万物の理論は深くリンクし、我々の物理学の理解が深まるにつれて宇宙も少しずつわかってきたといえる。 例えば相対論から…

合理的な思考と感情と

ひじきとヒ素を例に考えてみる。 ひじきには有害な無機ヒ素が含まれている。日本ではあまり問題視していないが、英国食品規格庁はひじきを食べないように勧告している。ひじきで健康被害が出たことはないから、今までの食べ方なら問題はないということだろう…

ドラッグラグ

日本で問題になっている「ドラッグラグ」とは、海外で承認・使用されている薬が日本国内で使用できない*1ことをいう。私見だが、使用できないことだけが問題なのではなく、使用後に出た副反応に対する世論も問題なのだと考える。以下では、ドラッグラグ問題…

脳は美をいかに感じるか

脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界 セミール ゼキ 著進化論・認知機能つながりで。 視覚という分野でも、心理学的・生理学的な知見が集まりつつある。著者は、美術とは曖昧さだと考え、美しさを構成する各要素をできるだけ純粋な形で取り出した…

進化論と教育、そして自由

無神論を扱うと進化論の話になるので少し書いてみよう。ドーキンス、デネット更にニコラス・ハンフリー、スティーブン・ピンカーといった、進化論に立脚して各分野の仕事をしている人たちが問題視するのは、教育における進化論の扱いだ。これは児童虐待と似…

無神論の本の続き

自分で参考として取り上げた本を簡単に。 神は妄想である リチャード・ドーキンス 徹底的な宗教批判。創造論に進化論をぶつけるスタイル。宗教が引き起こす問題に付いて、宗教が絡むと口に出しにくい雰囲気があることを批判する。日本とアメリカで無神論の扱…

中世とアナルコキャピタリズム

只今、「数量化革命」という本を読んでいるが、第2章に中世での権力の抑制の話が出てくる。中世の西欧では教会、貴族・王などが部分的な権力を持っていても、それぞれの権力は完全ではなかった。例えばプロテスタントを信仰する者がカソリックから逃げて来て…

無神論

たまたま蔵さんと人間行動の生物学的基盤に付いて議論していることもあって「神はなぜいるのか」を取り上げたつもりだった。意外に好意的なコメントをリバタリアニズムつながりの人たちから頂いたのでもう少し書いてみよう。無神論とリバタリアニズムに付い…

神はなぜいるのか?

パスカル・ボイヤー著 「神はなぜいるのか?」よりタイトルからは神という概念に対して肯定的な感じがするが、内容は進化論に基づいた人間の認知機能から「なぜ超自然的な存在がいるように考えるか」を解き明かす本だ。無神論というと、ドーキンスやデネット…

マイノリティの成功

政治的マイノリティで成功している集団は何が違うのだろう。以前に遺伝のことでユダヤ人を取り上げたが、今日は別の角度から考えてみたい。 金融・交易に携わるユダヤ人、客家(華僑)、印僑はビジネスで成功しているイメージがある。 これの一部は信頼と安…

科学に対する猜疑心

迷信やオカルトにはまり込む人には共通して科学に対する猜疑心があるように思う。同時に他のオカルトなり迷信には親和性が高い。また、何にでも人為的な意志の働きを想定する傾向があるようだ。

スラムの物価は高いか

スディール・ヴェンカテッシュの「ヤバい社会学」や「アメリカの地下経済」を読むと、スラム街の物の値段が概して高い記載がある。強盗などのリスクプレミアムと説明されていたと思う。しかし、日本のスラム街はたいていの物は安いように思う。質だけでは説…

労働価値説の問題点

労働価値説で私的所有権を擁護できたとしよう。労働価値説の問題点はどこに出てくるのか。人間は交換を生み出した。リドレーは「繁栄」で人間の動物の違いを交換に求めているが、私も非常に重要な発見だと思う。相手は持っているが自分が持っていない物と、…

私的所有権の正当化

私的所有権を正当化するまとまった議論を始めたのはジョン・ロックである。労働価値説に基づく「無主物に労働を混ぜたら自分の物になる」という考え方。 労働価値説だけでは問題が出てくるが、労働には価値があり働いた成果は自分の物であるということは私に…