科学に対する猜疑心

迷信やオカルトにはまり込む人には共通して科学に対する猜疑心があるように思う。同時に他のオカルトなり迷信には親和性が高い。また、何にでも人為的な意志の働きを想定する傾向があるようだ。


このような人たちが論理性を欠いているわけではない。占いにのめり込む人でかなり込み入った理屈を展開する人は多い。その世界の中ではそれなりに理屈が通っているのである。古典を持ち出したり、中にはゲーデル不完全性定理を持ち出す人もいる。
何が原因でこのような猜疑心が生まれたのだろう。教育とは考えにくい。科学学習の挫折といったって、一流の数学者ですらどこかで挫折しているのである*1
一つの理由として、確率的・統計的な思考やランダム、偶然ということがなんとなく納得できないのだろうと思う。例えば、誰かが肺炎になったとしよう。オカルトにのめり込む人も肺炎が細菌感染が原因だということを疑うわけではないのである。彼らが気になるのは、「この人がこのタイミングでなぜ」ということなのだ。どうしても人為的な視点*2で説明しようとしてしまう。
後はミーム的な要素も関係あるはずだ。迷信はそれ自体に自分の考えを強固にし、他の考えを拒絶するメカニズムを内包する。例えば、カルトが信仰を捨てると地獄に堕ちると言ったり、これは試練だと言ったりするように。そのようなミームは排除しようとするとますますガードを固くしていく。

このようなことを考えていると、自然科学には、ついでに言うなら経済学にも、進化論的に形成されて来た情報処理回路にそぐわないところがあるに違いないと思う*3

*1:でなければ未解決問題があるはずがない

*2:超自然的な存在が持ち出されやすい

*3:それと学問の否定はもちろん別の話。納得しがたいということだ