2009-01-01から1年間の記事一覧

リバタリアニズムと共感

蔵さんが、動物への共感とリバタリアニズムの関係について論じている。これに触発されてのエントリー。ただし、動物ではなく他人に対する共感について。ここから普段考えていることをまとめてみた。

公園は誰の物か

少し前に渋谷で宮下公園の命名権売却に対するデモに出会った。デモ隊の主張を検討してみる。 ・大企業に命名権を売却するな これに対しては、揚げ足取りのようであるが中小企業への売却ならよいのかと思った。企業を悪と見なす思考パターンに対して私は否定…

選挙の経済学

typeAさんが「Nudge」を取り上げたので、ちょうど読了した本を紹介。 著者は公共選択学派のリバタリアンとして有名なブライアン・カプランである。タイトルからは想像もつかないほど様々なことが詰め込まれていて、どの部分を取り上げるかだけでも色々なエン…

リバタリアニズムの多面体

編著 森村進 リバタリアニズムのワークショップをまとめたもの。以下、章毎に簡単にコメント。 第一章 なぜ自由か? ジャン・ナーヴソン まだ日本語では紹介されることの少ないジャン・ナーヴソンの論文である。ナーヴソンは契約論に依拠するリバタリアンで…

本当にお得な補助ですか

「いつでも政府を民間企業として見よ」とは、アナルコ・キャピタリズム研究(仮)ブログのエントリの一つである。内容に完全に同意するが、一つだけ付け加えたい。「政府のやっていることの費用はどこかの誰かが払っているのです」と。政府があらゆる補助を…

現在の枠組みでも多少実現していること

いきなり無政府資本主義の実現は難しいと思う。それでも徐々にではあるが無政府資本主義に至るような動きは出ている。不況を理由に政府の介入を肯定する人が多いが、不完全とはいえ民営化がサービスを向上させてきたことをまとめてみたい。

金融危機にあたって

最近刊行された新版のハイエク全集を読み進めている。第1、2巻は景気循環をテーマとしたものである。ハイエクの結論の一つは景気循環に介入するとかえって波が大きくなり、後に来る不況が大きく、深くなるというものである。ハイエクの考えは現代の主流派経…

過去を美化しているのか

年金問題にしても、納付率の低下が年金問題の根本のように思っている人が多いようだが、実際は制度の設計ミスである。下の世代の責任にしてしまうのは、少年犯罪のときと同じ構造のような気がする。今の若いやつは、という思考だ。しかし、世代全体としてみ…

年金問題

原田泰氏の「日本国の原則」を読んだ。広い意味でのリバタリアニズムに属する本と考えてよいと思う。規制の撤廃が経済発展を促すという当たり前のようなことを史実に基づいて丁寧に解説している。 年金問題に付いても、国際比較、納めた額の二つを根拠に現在…

企業の社会的責任とは

不況のせいか、企業の社会的責任という言葉が連呼されていたが、見当違いも甚だしい。不況のため解雇される人、就職できない人がクローズアップされている。大企業はそのような人に対してどのような社会的責任を果たすべきだというのか。今回は無政府社会で…

アイン・ランドの思想と(狭義の)リバタリアニズムの比較

アイン・ランドの「利己主義という気概」が邦訳で出版された。「水源」や「肩をすくめるアトラス」もあわせてランドの思想である客観主義を狭義のリバタリアニズム*1と比較してみた。 *1:ここではロスバードやDDフリードマン、ハイエクなどを想定していただ…