現代のスピノザ

少し無神論の話を続けよう。
この宇宙がどうやって始まったかという問いは、物理学の問題でありながら哲学の領域に入り込む。宇宙論と万物の理論は深くリンクし、我々の物理学の理解が深まるにつれて宇宙も少しずつわかってきたといえる。
例えば相対論から、宇宙は有限で膨張してるのか、という問いを具体的に追求することができるようになったし、量子力学から超弦理論*1M理論に至って、宇宙の歴史はビッグバンの直後くらいまで明らかになってきた。この他に、正しいかどうか私に述べる力はないが、多宇宙理論なども興味深い。
さて理論面はとばして、この宇宙がどうして今の姿になったか、というのは考える価値のある問題だろう。ビッグバン直後以降の仮説が正しいとして話を進めよう。この宇宙が今の姿になるためには物理学の定数が絶妙にバランスがとれている必要がある。例えば重力の大きさが大きくても小さくても、原初宇宙の密度のばらつきが変わっていても今の宇宙はあり得ない。
このようなセッティングはどうして起きたのだろう。あるいは誰かがセットしたのだろうか。
ここまで来て物理学者の間でもいくつかの意見が出ているようだ。「幸運な宇宙」のポール・デイヴィスはやや目的論というか、インテリジェント・デザインに近い考えのようだ。私は物理学者ではないが、多宇宙が発生する中でたまたまこの宇宙が生まれたと考えている。これは「宇宙を支配する6つの数」マーティン・リースに近いか。
さて、現代のスピノザならどう考えるだろうか。

このエントリは、拙エントリを読んで「リバタリアニズム、無神論、神秘主義」をアップしてくれたjunta_lawさんへのオマージュです。リバタリアニズムとは関係ないけれども。

*1:こちらはまだ仮説の色が強い理論の段階