合理的な思考と感情と

ひじきとヒ素を例に考えてみる。
ひじきには有害な無機ヒ素が含まれている。日本ではあまり問題視していないが、英国食品規格庁はひじきを食べないように勧告している。ひじきで健康被害が出たことはないから、今までの食べ方なら問題はないということだろう。
このような話をすると、感情的な反発がかえってくることがある。そのパターンには大きく分けて二種類あり、どちらも我々がやりがちなことだ。極端な形で書いてみよう。

  • 有害なものが入っているならいっさい食べないようにしよう。国が禁止すべきだ。
  • 自然で昔からある食品が有害なはずがない。人工的なものが入っているものこそ有害だ。

どちらも進化論的には直感毒物学として発達してきたのだろう。前回書いた新薬におけるトレードオフや政治の再分配問題・関税なども同じことだろう。直感毒物学などをうまく使い、かつ乗り越えるために教育、論理的思考、統計学、経済学などがあるわけだが、広義のリテラシーが身に付いた状態とはかなりハードルが高いのかもしれない。