ドラッグラグ

日本で問題になっている「ドラッグラグ」とは、海外で承認・使用されている薬が日本国内で使用できない*1ことをいう。私見だが、使用できないことだけが問題なのではなく、使用後に出た副反応に対する世論も問題なのだと考える。以下では、ドラッグラグ問題とは、この両方を含めることにする。

ドラッグラグ短縮に伴う問題点の一つは、臨床データが少ないことである。当然大規模に使用されると治験段階ではわからなかったことが起こりうる。よい例がゲフィチニブ*2だろう。ゲフィチニブは非小細胞肺癌に対する新薬として登場した。画期的だったのは、ゲフィチニブは世界で初めて日本において承認されたことだ。世論の後押しが政府を動かしたと言えるが、間質性肺炎という副反応で世論は逆向きになった。

一刻も早く新しい薬を使用できるメリットは、予想外の副反応に出会うことと表裏一体である。蔵さんが書かれていた金持ちだけが先端医療を受けられることの是非は、未知の副反応・事故に出会うことをあわせて考えねばならない。政府の介入に関する議論は保留しても同様の問題は起こりうる。早い承認を歓迎することは予期せぬ副反応を受け入れる覚悟がなくてはならない。

結論は、医療もやはり自分の決断で受けるということだ。医療従事者は現時点での選択肢を提示する。それを自分で決断し選択する。従って医療こそ自由との関連が強く意識されるべきである。

*1:保険診療で使用できない

*2:商品名イレッサ