なぜ天然痘は根絶できたか

たまには違った方面の話題も

痘瘡*1はどうして根絶できたのか。痘瘡自体非常に恐ろしい病気であるが、根絶しやすい条件が整っていた。
1.良く効くワクチンが作りやすかった
牛痘から安全性の高いワクチンを比較的手軽に作ることができた。病原菌によってはワクチンを作りにくいものもあり、この点は天然痘との戦いは人類にとって幸運だったと言える。
2.ワクチンの保管・運搬が容易だった
これはあまり言及されることがない。インド・アフリカなどで種痘を行う場合、冷蔵保管が必要なワクチンなどは持ち込みにくかっただろう。痘瘡のワクチンは室温・乾燥の状態で運搬が可能である。また、接種も容易である。
3.潜伏期間が短く、不顕性感染がほとんどない
痘瘡の潜伏期間は、だいたい16日以内である。感染するとほぼ発症するため不顕性感染*2でウイルスを広めることはなかった。発症した人に早急に種痘を行って隔離し、周囲の人に種痘を行うことで流行を断ち切ることができた。
4.感染するとほぼ終世免疫を得られる
上の条件との組み合わせで流行を断ち切ることができた。
5.WHOが痘瘡根絶のため世界中に出向いた
この努力は称賛に値する。

*1:一般には天然痘と言われる

*2:症状がないまま感染していること