2011-01-01から1年間の記事一覧

価格をつり上げることのできる企業などない

大企業というとそれだけで「強欲」で「価格をつり上げている」というイメージが持たれているようだ。自由な市場では大企業が価格をつり上げることなどできない。それより低い価格で商品なりサービスなりを提供する企業が現れて、大企業の地位を脅かすように…

エコポイントの影で

タイトルではエコポイントとしたが、エコカー減税なども含めて。 エコポイント・エコカー減税の目的は何だろう。環境問題対策*1より景気対策という意識の人が多いはずだ。一応景気対策として考えてみる。 エコポイントが付くからといってもう少し先まで使う…

モジュールは同じでも

人間の意識や思考、どのように外界を認識しているかに付いては色々わかって来ているようだ。 ピンカーやデネットの一連の著作やパスカル ボイヤーの「神はなぜいるのか」では、人間の思考を支えるモジュールとして「直感物理学」や「志向性」に触れている。…

演繹と帰納、ベイズ

蔵さんがアップされたEBMの話を読んで色々考えた。ある程度自然科学になじんだ人間は蔵さんが書かれる通り、ホメオパシーを試しもしないで退けるだろう。科学者としてはフェアな態度ではないかもしれないが、物理や化学の知識から実験するまでもなく間違いだ…

リストラの本当の意味

リストラされると大変なことは理解している。だが本当に大変なのは次の仕事が見つからないからで、この原因の一つが解雇規制や最低賃金制度だということは何度か書いて来た。 以前にも書いたが、リストラの良い面をあげてみよう。リストラを断行する企業は落…

ピカソの絵画はなぜ高いか。ここから格差を考える

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」より労働価値説という考え方がある。物の値段は基本的にその生産に投下された労働量によって決定されるという考え方だ*1。私的所有権の根拠の一つとして、ロックが唱えた「ある物に自分の労働を混ぜるとそれは…

金持ちと貧困と

分かりやすさを狙ってか、勝ち組と負け組、二極化などという言葉がよく使われる。しかし、所得に関して言うなら現時点だけを捉え、しかも両極だけを比較するのは間違いのもとである。 所得でいくつかの階層に区切ってみても時間の流れとともに属する人間が入…

石油はなくなるのか

現在利用可能な原油埋蔵量は価格や採掘コストに左右される。原油価格が上昇すればコストに見合わないとして放置されていた油田からの採掘が始まる。また、長期的には別の資源が利用可能になる*1。 *1:石炭はなくなると言われていたが、原油の方が利用価値が…

失業

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第9、10、11章より欧州とアメリカで失業率がなぜ違うかに付いて、ソーウェルは雇用の際のコストだとしている。最低賃金制度と解雇規制のため労働力のコストが上がり結果的に失業者が増えてしまう。労働のコスト…

労働と資本の相対的希少性

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第9章より少し前にリドレーの「勤勉革命」に付いて取り上げた内容をソーウェルも取り上げている。豊かな国では、労働力が相対的に希少であり、貧しい国では資本財の方が相対的に希少であるとしている。豊かな国…

強欲は差別をなくす

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第9章よりトマス・ソーウェルは、入門経済学で差別と雇用の関係に付いて述べている。印象的なのは、1972年までさかのぼっても同じ境遇なら男性より女性の方がわずかに収入が多かった下りであろう。強欲な経営者…

犯罪の生物学

参考文献 D.C.ロウ 「犯罪の生物学 遺伝・進化・環境・倫理」より犯罪を犯すことに遺伝的な傾向はあるのだろうか。政治的な問題になりやすいこのテーマに付いて、現在わかっていることをわかりやすくまとめたのが本書である。本書の用意した答えは条件付きな…

答と行動と

経済学の入門書を読むと、人はアンケートに答えたことと同じ行動をとるとは限らないということが書いてある。建前と本音と言い切ると問題がありそうだが、重なる部分は大きいと思う。レヴィット*1はこのギャップをうまく本にしたとも言える。例えば、「超ヤ…

世の中そんなに甘くない

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第6章よりほとんどの人は、大企業は一般の人から搾取することで成長していると信じているのかもしれない。しかしこれは大きな間違いだ。ソーウェルによれば、成長した企業はそれぞれの分野で価格を下げ一般の人…

企業の撤退は悪か

企業が工場を閉鎖するというと犯罪であるかのように言われる。しかし、赤字操業が続けばその企業全体が倒産に追い込まれるだろうし、経営陣は株主から訴訟を起こされるかもしれない。そもそも株の価値がなくなったらその損害は誰に文句を言えばいいのだろう…

福祉制度が機能しないわけ

公的な福祉と民間の競争する福祉団体の違いは何だろう。公的な福祉は独占団体ということだ。競争がないから効率が悪い。逆に福祉を民間主体で行うようになれば、団体同士が競争し、互いの目の届かないところをカバーし合う可能性が生まれる。そもそも、国が…

株仲間の話

wasting time?さんの株仲間の話を読んでもっともだと思った次第。付け加えるとすれば、問題となる独占は政府の規制によるものだというロスバードの議論をあげておきたい。追伸 トラックバックをしてみたがうまくいったかな?

価格統制は害をもたらす

トマス・ソーウェルの「入門経済学」で価格統制が失敗する様子がわかりやすく解説されている。歴史にも詳しいソーウェルは、大地震の後のロサンゼルスで住宅の数が激減したにもかかわらず価格が上昇するおかげで住宅が不足しなかったこと、ガソリンの価格統…