企業の撤退は悪か

企業が工場を閉鎖するというと犯罪であるかのように言われる。しかし、赤字操業が続けばその企業全体が倒産に追い込まれるだろうし、経営陣は株主から訴訟を起こされるかもしれない。そもそも株の価値がなくなったらその損害は誰に文句を言えばいいのだろう。アメリカでは年金基金が株を買っているが、企業の効率的な運営を妨げるのは自分たちの年金を削っているということも忘れない方がいい。
企業の撤退で思い出すのは、農業人口が減った話だ。農業の生産性が高まるに従い、人々は農業分野での職を失ったわけだが、昔より遥かに多くの人々が他の分野で仕事をしている。人々の選択肢が増えたということも喜ばしいし、農業自体の生産性が高まったことも喜ばしい。
話を企業の撤退に戻そう。もちろん、解雇された人は大変なのはわかる。しかし、大変なのは次の仕事が見つからないからで、それは解雇規制のためだ。アメリカでもリーマンショックで失業者が増えたが、日本より遥かに早く再就職している。ある企業の撤退で街が寂れることもあるだろうが、それは人々が別の街に出て行ったためだ。

企業の撤退は悪ではない。再就職しにくくしている解雇規制の方が悪い。