強欲は差別をなくす

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第9章より

トマス・ソーウェルは、入門経済学で差別と雇用の関係に付いて述べている。印象的なのは、1972年までさかのぼっても同じ境遇なら男性より女性の方がわずかに収入が多かった下りであろう。強欲な経営者は性別より能力を優先したのだ。平均して男性の方が収入が多い理由として、女性は育児による仕事の中断があること、男性は危険性の高くて収入の多い仕事に就くケースがあることをあげている。
もう一つ、強欲な人が差別をなくした例をあげておこう。同書にアパルトヘイト下の南アフリカで政府に禁じられていた職に強欲な経営者が黒人を採用していた例が出てくる。黒人の給与が低いのは政府による差別のせいだが、能力のある黒人は政府が禁止してもちゃんと雇われていたのである。

自由市場で差がつくとすれば性別や皮膚の色ではなく、能力だろう*1。それは差別とは言えないだろう。強欲で私利私欲を追求する人間が皮膚の色や性別による差別をなくす方向に動く。自由市場というものは誠に良くできている。

*1:リバタリアンは性別や皮膚の色による差別を原理的には許容する。しかし、実際にそう考える個々のリバタリアンは少数だろう