労働と資本の相対的希少性

参考文献 トマス・ソーウェル著 「入門経済学」第9章より

少し前にリドレーの「勤勉革命」に付いて取り上げた内容をソーウェルも取り上げている。豊かな国では、労働力が相対的に希少であり、貧しい国では資本財の方が相対的に希少であるとしている。豊かな国の工場なら労働者一人一人に与えられるようなハンマーやドライバーが貧しい国ならみんなで共有する例を挙げている。つまり、豊かな国なら工具がなくて労働者が待機しているのは貴重な労働力が無駄になっていることになるのだ。
この例から考えても、生産性を高めることすなわち希少な労働力を節約することを疑問視するような論調は否定していくべきだろう。またその同類である「金にこだわらず働け」というのも、その中身は「お前の労働力なんて安いものだ」という話だとわかる。こういう一見道徳めいているが内容は破綻している話には要注意である。