演繹と帰納、ベイズ
蔵さんがアップされたEBMの話を読んで色々考えた。
ある程度自然科学になじんだ人間は蔵さんが書かれる通り、ホメオパシーを試しもしないで退けるだろう。科学者としてはフェアな態度ではないかもしれないが、物理や化学の知識から実験するまでもなく間違いだと考えるだろう。これを演繹的な思考としよう。
蔵さんからのメールにあった言葉を使わせて頂くなら、医学の主流から外れるような治療法でも統計を取ってみて意味がありそうなら、理由は不明でも医療の現場では採用されるかもしれない。これは帰納的あるいは蔵さんの言葉を借りるならベイズ的思考と言えるかもしれない。
まあ、科学的思考は演繹的な思考とベイズ的な思考の両方から成り立っているのだろうが。
ベイズ的思考が大きな発見につながることもある。以下、私がびっくりした例。
ATRA(ビタミンAの仲間と考えていい)という物質がある種の白血病の寛解導入に役立つ。上海大学がATRAの有効性を発表したとき、ビタミンなんかで白血病が治るかという人が多数いた。しかし、実際に有効であることが確認された。後から考えれば、白血病の原因の一つに未熟な細胞が成熟した細胞に分化できないことがあるはずで、ATRAは分化を誘導する作用があるのだ。また、亜ヒ酸(ヒ素は猛毒)もこの白血病の治療に利用されている。
薬害を起こしたサリドマイドが骨髄腫の治療に利用されている。
ウジを傷の治療に利用する。
などなど。この辺りは思い込みを捨ててやってみた例と言っていいのではないかな。
ここまでが、EBMがらみの話。人間の思考パターンに付いてはカテゴリを分けよう。