労働価値説の問題点

労働価値説で私的所有権を擁護できたとしよう。労働価値説の問題点はどこに出てくるのか。

人間は交換を生み出した。リドレーは「繁栄」で人間の動物の違いを交換に求めているが、私も非常に重要な発見だと思う。相手は持っているが自分が持っていない物と、自分は持っているが相手は持っていない物を交換すると双方の効用が増える。ここから分業の利益が生まれる。

労働価値説の問題点は、相手の一時間の労働と自分の一時間の労働が常に同じ価値だとしてしまう点だろう。数種類の単純な労働しかないならともかく、分業が進めば希少な物(相手が欲しがる物)を作り出す人間の労働の価値が高いことになるだろう。これが限界効用の考え方の入り口である。よく引き合いに出されるのが、ホテルのラウンジのコーヒーはなぜ高いかである。ホテルだから高いのでない。その場所で出されるコーヒーにそれだけのお金を支払おうとする人がいるからなのだ*1

*1:お金を払う人がいなければホテルも価格を下げざるをえない