思ッタコト

移民について色々考えてみた

知人の集まりで移民が話題に出たことがあり、色々と考えてみた。ある人は、「文化を守るため、福祉へのただ乗りを制限するために移民を制限すべきだ」という。発言者は、移民を受ける側を中心に考えていることに注意。また、これは二つに分けて考えるべき発…

中東の革命と共通善

中東の革命の報道を見ていて少し考えた。私自身のイスラム教への理解は不十分だと思うので、以下の話はイスラム教がきっかけになったと思ってほしい。イスラム教の特徴は、ライフスタイルから法律まで宗教によって決められていることである。もっとも、国に…

豊かな社会と学歴と

最近の蔵さんのエントリで、学歴と家庭環境に関するものが二つあった(こことここ)。要するに社会が貧しいと家庭環境の差が大きく出るが、ある程度*1社会が豊かになると子供自身の能力の差が大きく現れるということだろう。 この事実をどう捉えるか。社会が…

マシュマロテストから進んでみる

少し前にマシュマロテストを取り上げたが、進化論的な観点からもう少し考えてみよう。マシュマロテストで問題にされる「目の前の利益を犠牲にして先のことを考える傾向」は、おそらく遺伝的に規定される*1だろう。この資質は動物と人間を区別する大事なポイ…

改めて自由貿易

穀物価格が上がっている。それでも小麦の国内価格は、海外の小麦の市場価格よりはるかに高い。関税をなくせば小麦の価格は逆に下がるのだ、少なくとも日本国内では。農家の保護とよくいわれるが、以前書いたように国内の小麦が高品質であるかどうかは疑わし…

努力

努力が報われてほしいというのはまあ感情として充分理解できる。リバタリアンとて「あなたがやっていることは誰も認めませんよ」と言われて喜ぶ人は誰もいないだろう。だが、努力が完全に報われる社会など存在しない。そもそも努力が報われるということを定…

個人主義に至る過程としての地方分権

KightLibertyさんのブログに掲載された越後和典の地方分権論。もっともと思う。政府を認めるかという議論はここでは保留にして考えてみる*1。少なくとも税は我々が払ったものであるから、払った人間のためになるように使われるべきだ。ぶれが少なくなるため…

手作りと清潔と

食中毒が報道されると、関係者の衛生に対する意識が問題にされる。しかし、おばあちゃんの手作りという枕詞が付くと、多少汚くても無視される。

歌舞伎と相撲

歌舞伎や相撲で、泥酔して喧嘩だの八百長、賭博、薬物汚染だのが問題になっているが、問題にすべきポイントが違う。まず、歌舞伎がらみで。喧嘩は一方的被害者がいるなら問題だろうが、双方やり合ったなら格闘技と同じだろう。まあ、先に手を出した方が悪い…

道徳を持ち込むのはやめにしよう

リバタリアニズムというより個人的な考えと前置き。物事に道徳を持ち込むのが嫌いだ。繰り返しになるが、仕事に「心を磨く」ことなど持ち込む必要はないだろう。契約通りの仕事をして相手に満足してもらえばそれでいい。 同様にドラッグをやる人間を非難する…

ドラッグ全面解禁論

ドラッグ全面解禁論 デイヴィッド ボアズ 著すでにslumlordさん、typeAさんからも紹介されているが、私からも簡単に紹介しておきたい。 出版社のドラッグをやろうよという感じのラインナップの中では異色で、ドラッグ禁止がどのような害をもたらしているかを…

マシュマロテスト

知人が4歳の子供を連れて出かけ、ある子供用の乗り物の順番を待っていたところ、別の同年代と思われる子供に割り込まれた。「そのとき自分の子供は黙ったままで引っ込み思案だ」と心配していた。別の角度から光を当てれば知人も喜ぶかと思い、マシュマロテス…

労働の価値

労働とは、各個人が提供できるサービスである。それ以上でもそれ以下でもない。もちろん、やりがいのある仕事に出会った人は幸運だろう*1。しかし大多数の人には苦痛の部分の方が大きい。だからこそ上記のように「各個人が提供できるサービス」とクールに捉…

貢献は見えにくいものかも

テレビを見ていても職人技と言うか常人が真似しがたい技術を持ち上げがちだ。分野は違うが、確かにメジャーリーグのファインプレーなど見ていてすごいと思うし職人技を否定するわけではない。だが職人技は過剰に評価されがちであるように思う。 例えば、職人…

困っている人を助ける

福祉制度の根幹は「困っている人を助けましょう」ということだろう。一見正当化できそうだが、少し考えると不思議なことだらけである。アルコール依存で補助を受ける人はどうなのか。アルコール依存で働けなくなったから福祉の対象になるのか。アルコールは…

奨学金の運営

教育にどこまで政府が関わっていいかというのも難しい問題だが、私案を。まず、教育はすべて民間企業が担う。各社、低価格で充実した教育内容を提供するように教育する。支持されない企業は閉鎖されていく。優秀な人間をとりたいところもあるし、学習が苦手…

親子三代にわたる生活保護

ニュースでタイトルの内容に付いて取り上げていた。 この手の問題でいつも思うのは、親が生活保護だからという環境要因が重視されるが、遺伝的な要因に付いてだれも触れないなということである。もちろん、生活保護になる遺伝子などはないが、困難にチャレン…

関税は何のため

関税の目的の一つに、国内産業例えば農業の保護があげられことがある。しかし、それを正当化する人が相手国の産業の保護を唱えることはない。なぜだろう。関税を正当化する人は日本と国外で線を引くが、なぜ関東と関西の間や東京と神奈川の間で線は引かない…

革命や独立

思いつきだけれど、記録しておこう。革命や独立運動は現在の社会の仕組みに不満があるから起こるのだろう。無政府資本主義の社会なら、政治の問題は小さくなるはずだから問題はあまり起こらないだろう。また、起こったとしても自治体機能に相当するような仕…

同一労働・同一賃金

同一労働・同一賃金というスローガンは無意味である。各人の人的資本に違いがあることやその時々の労働需要により賃金が変動するからである。だが様々な条件が似ているという前提をつければ、政府の介入などなくとも賃金はあるレンジに収斂してくるだろう。…

著作権・特許

「10万年世界経済史 下」で産業革命と著作権・特許に関するくだりがある。蒸気機関や紡績機の改良に取り組んだ人はそれによってあまり利益を得ていないというものだ。むしろ貧しい人に利益がもたらされたと。「知的独占*1」も大筋ではそのようなことに触れて…

言葉の違い

外食していて思ッタコト。 「お飲物はいかがですか」と「お飲物は何になさいますか」を比べると飲み物を注文する割合はかなり違いそう。 こういうちょっとした積み重ねが繁盛店と普通の店の分岐点なのかも。

顕示選好

ある南の島が好きでそこに住みたいという人と話をした。実は私も南の島*1でのんびりしたいと思うことはある。生活の拠点は都市に置きたいのだけれど。 さて、この人にいつ頃移住の予定とか考えているのですかと聞くと夢なのだという。こんな話を聞くと、ひね…

現代のスピノザ

少し無神論の話を続けよう。 この宇宙がどうやって始まったかという問いは、物理学の問題でありながら哲学の領域に入り込む。宇宙論と万物の理論は深くリンクし、我々の物理学の理解が深まるにつれて宇宙も少しずつわかってきたといえる。 例えば相対論から…

合理的な思考と感情と

ひじきとヒ素を例に考えてみる。 ひじきには有害な無機ヒ素が含まれている。日本ではあまり問題視していないが、英国食品規格庁はひじきを食べないように勧告している。ひじきで健康被害が出たことはないから、今までの食べ方なら問題はないということだろう…

ドラッグラグ

日本で問題になっている「ドラッグラグ」とは、海外で承認・使用されている薬が日本国内で使用できない*1ことをいう。私見だが、使用できないことだけが問題なのではなく、使用後に出た副反応に対する世論も問題なのだと考える。以下では、ドラッグラグ問題…

進化論と教育、そして自由

無神論を扱うと進化論の話になるので少し書いてみよう。ドーキンス、デネット更にニコラス・ハンフリー、スティーブン・ピンカーといった、進化論に立脚して各分野の仕事をしている人たちが問題視するのは、教育における進化論の扱いだ。これは児童虐待と似…

無神論の本の続き

自分で参考として取り上げた本を簡単に。 神は妄想である リチャード・ドーキンス 徹底的な宗教批判。創造論に進化論をぶつけるスタイル。宗教が引き起こす問題に付いて、宗教が絡むと口に出しにくい雰囲気があることを批判する。日本とアメリカで無神論の扱…

無神論

たまたま蔵さんと人間行動の生物学的基盤に付いて議論していることもあって「神はなぜいるのか」を取り上げたつもりだった。意外に好意的なコメントをリバタリアニズムつながりの人たちから頂いたのでもう少し書いてみよう。無神論とリバタリアニズムに付い…

科学に対する猜疑心

迷信やオカルトにはまり込む人には共通して科学に対する猜疑心があるように思う。同時に他のオカルトなり迷信には親和性が高い。また、何にでも人為的な意志の働きを想定する傾向があるようだ。