ドラッグ全面解禁論

ドラッグ全面解禁論 
デイヴィッド ボアズ 著

すでにslumlordさんtypeAさんからも紹介されているが、私からも簡単に紹介しておきたい。
出版社のドラッグをやろうよという感じのラインナップの中では異色で、ドラッグ禁止がどのような害をもたらしているかを主眼にまとめたものだ。ドラッグを禁止することで犯罪組織がドラッグを扱うようになり、結果的に犯罪が増えるということが繰り返し強調されている。
現在の日本で合法化されているドラッグと言えばアルコールとタバコであろう。しかし、両方とも犯罪組織が扱うわけでもなく、殺人事件などには結びつかない。ドラッグ解禁で同じようになると予想される。日本でも道徳を説く人に限って「酒を飲まない人間は一人前でない」と言ったりするが「ドラッグをやる人間は最低」だという。矛盾しているのに気付かないのだろう。

経済的な側面、自由の哲学的な側面など色々な角度からドラッグ解禁を訴える本書はリバタリアニズムに触れるきっかけとしてお勧めである。

最後に。
slumlordさん、typeAさんの書評がなかったら「きわもの」として本書を読むことはなかったであろう。書評とは数が多いことがいいのではなく、質が重要なのだと痛感する。くだらない本とはっきり書く人なら信用できるが、世の書評を書く人はそうではないだろう。くだらない本を多数読むより、信頼できる人が薦めてくれた本をじっくりと読む方が時間の使い方として有用だろう。