メモ

勤勉革命と単純労働

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (下)」 p28、山田八千子著「自由の契約法理論」p188より リドレーによれば、18世紀の日本は、牛や馬を使って鋤で農地を耕すことをせず、鍬を使って人力で農耕を行っていた。更にリドレーは、日本が自給自足に陥り衰退…

情報格差

情報格差がある場合は対等な交換は成立しないのか。 私自身の立場は情報格差があるからこそ市場が成立するというものだ。「せどり」という業態があるが、これは安く売られている古書を仕入れ、需要のあるところでそれより高く売ることだから、情報格差そのも…

高齢者は弱者なのか

財政赤字が話題になっても、社会保障の削減はあまり話題にならない。特に年金削減というのはタブーのようだ。表向きは高齢者イコール弱者だからとされているが、単純に政権与党の選挙対策としか考えられない。 財政赤字の原因の一つは過去にばらまきをやりす…

結局大企業はどうすればいいのか

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p163よりリドレーの「繁栄」に、ウォルマートが進出してメリットを享受しているにもかかわらず不満たらたらな人々の様子が出てくる。普段は大企業が暴利をむさぼると言って批判する人が、ウォルマートの低価格…

続・チケットショップ

また新宿のチケットショップの辺りを歩く機会があった。年末のためかどこもにぎやかであるが、店によりにぎやかさは違う。やはり客から見て売買が有利な店は行列が長くなり、それがシグナルとなって更に行列が伸びる。客の中にはならびの店の価格を比較して…

交換の強制

自発的な交換には双方のメリットがあるという話を持ち出すと、「選択肢が限られている人がいる」、「強制されたら問題だ」などという意見が出る。 強制されること自体、定義からして自発的な交換ではないのだが。また、選択肢が限られていても選択肢が全くな…

リバタリアニズムの普遍性

slumlordさんの問題提起より。 つぶやき1 蔵さんやfuyushaさんがされているような進化的、遺伝的な見地からの人種、性別、地域間の違いに関する議論は、個人的には興味深いが、積極的に論じているリバタリアンは余りいないイメージがある。リドレーもそうか…

フリーライダーと民族性

フリーライダーについてもう少し考え、遺伝のこととの関連をまとめてみた。wasting time?さんの考察はもっともで、規制による弊害は薄く広くなので目につきにくいのだろう*1。今後、この二つを論じていくには市場に自然発生的に出てくるフリーライダーの弊害…

フリーライダーをどこまで許容できるか

その社会が政府を大きくし、規制を増やしていくかどうかは、フリーライダーをどこまで許容できるかというメンタリティにかかっている、と思う。

私が交換を重視するわけ

mojixさんのエントリーを補足するつもりで。私が「愛情による無償の贈与」よりも「交換」を重視するのには理由がある。別に無神論者だからではない。他人に対して関心がないからでもない。

社会の改善はいつから始まるのか

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p154よりリドレーによれば、人々が川や空気の清浄化を求めるのは所得が4000ドルを超えてからだという。教育や職場の安全対策に力を入れるのも同じようにある所得を超えてからのようである。結論はごく当たり前…

思いやりの考察

参考文献 超ヤバい経済学、人は意外に合理的より初期の行動経済学の結論から更に踏み込んだ面白い話が「超ヤバい経済学」に載っている。ゲーム理論や実験経済学とも関連する話だ。話のポイントは、初期の行動経済学で唱えられていたほど人間には思いやりはな…

信頼の視点からリバタリアニズムを考えてみる

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p128, 142より市場を利用して生活していると、協力と公平性と個人を尊重する社会を築く。閉鎖的な社会の方がむしろ、偏狭なまでに合理的である。つまり、リバタリアンの理想とする社会では人は自発的に偏狭な利…

付加価値の大切さ

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p69より農業従事者が減り始めると、製造業は富を生まないと初期の経済学者たちはうろたえた。製造業に従事するものが減り始めると、経済学者たちはサービス業は製造から注意をそらすくだらないものだとした。今…

資源の呪い

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p53より植民地からの富があるにも関わらず没落したスペイン、現代の産油国がなかなか豊かになれないこと、資源のない貿易立国が豊かなこと等を取り上げて「資源の呪い」を例証している。 現代のアフリカの例に…

予防原則の難しさ

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p50より遺伝子組み換え食品による食料援助を過剰に心配したおかげで、ザンビアの飢饉を悪化させた可能性に付いて言及している。予防原則の運用の難しさがわかる。市場の力は予測力も備えているという例は多数あ…

経済発展と収入格差

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p36-37より経済発展に伴い、最初は収入格差が拡大する。しかし、その格差を拡大した力はいずれ格差を解消する方向に向かう。リドレーはハイエクの言葉を引用しながら、その理由として下層階級の地位向上が加速…

リバタリアニズムを色々な角度から見る

リバタリアニズムと言っても内部では様々な立場がある。無政府資本主義、最小国家、古典的自由主義と分けるのはわかりやすい。LJP内部でも、社会制度としてどの立場が安定的かという議論がある。例えば、蔵さんは哲学的あるいは帰結主義的には無政府が良いだ…

資源に恵まれた国あるいは奪ってきた国が発展するとは限らない

スペインは新大陸から貴金属を奪って来たがその後凋落した。産油国も必ずしも発展しているとは言えない。「征服と文化の世界史」によれば、アフリカでも資源があるからといって順調に発展しているわけではないようだ。 この話から、経済発展には人的資本によ…

ミームからミームへのフィードバック

遺伝子の話でややこしいのは、DNA自体は体と同様、遺伝子の乗り物だという点である。つまり遺伝子とはDNA(ウイルスによってはRNA)に書き込まれている情報それ自体なのだ。では遺伝子はミームと言っていいのか? 私が持っているイメージは、以下のようなも…

宗教と職業は遺伝子変異を起こすか

参考文献 一万年の進化爆発 グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング著参考文献によれば、アシュケナージ系ユダヤ人の知能が高いのは、隔離と職業制限のためだと言う。 まず、ユダヤ教の存在が他宗の信者との結婚を制限した。これにより、他宗の信…

都市化と遺伝子変異

いくら都市化が遺伝子の変異を加速するといっても、遺伝子変異が広まって固定化するには数世代では無理だ。しかし、遺伝子が生み出した科学技術は、直接遺伝子を操作するという段階に入りつつある。例えば遺伝子治療という言葉はもう定着しているはずだ。こ…

都市が進化を加速する

参考文献 一万年の進化爆発 グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング著蔵さんに紹介して頂いた本である。なお、進化論の書評で有名なshorebirdさんも書評されている。本書の趣旨は、人類は進化を止めておらず、遺伝子が作り出した環境により遺伝子…

アフリカに形成された都市

アフリカの悲劇で、アフリカには都市が形成されなかったと書いたが、もちろん戦後は次々と都市が形成されている。人類は気候や地理的な不利を克服するだけの技術を発達させたのだ。

なぜスラムは都市にできるのか

スラムはなぜ都市にできるのか。地方と比較して都市の方が単純に豊かだからか。都市の方がまだ衣食住にありつく機会があるということか。それとも地方では村八分にされるが都市では多数の一人として受け入れられるということか。

都市の本質は情報・ミームなのか

設備だけあってもうまく行かないのだから、都市を大きな建物が集まっているものなどと捉えるべきではない。人々が集まっていることにより人的資本(知識、文化、ミーム)が効率的に利用されていることに都市の本質があると考えるべきである。つまり情報がス…

The Rational Optimist邦訳出版予定

参考文献 ダン・ガードナー著 「リスクにあなたは騙される」 、サンドラ・ヘンペル著 「医学探偵ジョン・スノウ」蔵さんのエントリで名前を挙げていただいた。蔵さんには、いつも知的な刺激を与えて頂いて感謝している。リバタリアニズムという共通点以外に…

水道水から塩素を抜くと

参考文献 ダン・ガードナー著 「リスクにあなたは騙される」 P362より南米で水道水から塩素を抜いたところ、コレラが蔓延した。腸チフスは水道水に塩素を入れるようになってから先進国ではほぼなくなった。塩素処理をすると確かに微量の発がん物質が発生する…

都市とリバタリアニズム

参考文献 山岸俊男著 『「安心社会」から「信頼社会」へ』 より『「安心社会」から「信頼社会」へ』で山岸は、知らない人を信頼する度合いがアメリカより日本の方が低い、ということを社会心理学的実験で実証している*1。また、本書において他者への信頼が高…

物流の効率性とコンテナ

参考文献 コンテナ物語 よりコンテナの発明で港湾での荷物の積み降ろしが極めて効率的になった。船が大型化するにつれて接岸できる港が限られてきた*1。港に停泊する時間もきわめて短くなってきた。船から降ろされたコンテナはそのままトラックに乗るように…