社会の改善はいつから始まるのか

参考文献 マット・リドレー著 「繁栄 (上)」 p154より

リドレーによれば、人々が川や空気の清浄化を求めるのは所得が4000ドルを超えてからだという。教育や職場の安全対策に力を入れるのも同じようにある所得を超えてからのようである。結論はごく当たり前のことになるが、人々はやはり意識的にせよ無意識的にせよ、お金の使い道に優先順位をつけていて、社会が豊かになるほど道徳的と言われる領域にお金を使うことができるのであろう。つまり人を騙したり強盗でお金を得るのではなく、付加価値を生み出すことでお金を得るなら、その行為は積極的に推奨されるべきだろう。
ただ、だからといって人を強制的に働かせることには反対である。この二つの論説の折り合いを付けるには、その人が納得できる労働を、という但し書きが必要なのだろう。長い目で見ればあまり働かないような人でもイノベーションの利益は回ってくるのだから、より働いてより対価を得た人に再分配を要求するのは間違っているように思える。