都市が進化を加速する

参考文献 一万年の進化爆発 グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング

蔵さんに紹介して頂いた本である。なお、進化論の書評で有名なshorebirdさんも書評されている。

本書の趣旨は、人類は進化を止めておらず、遺伝子が作り出した環境により遺伝子の変異も加速していること、人種や民族により明らかな遺伝子差異があり、病原菌への耐性や知性において差が生まれているというものだ。後者の特に知性に関する議論は政治的な論争を生み出すのは間違いないが、著者らはアシュケナージユダヤ人を例にあげて論証している。

私も本書の論考にほとんど同意する。最近本ブログで展開して来た都市やミームの論考ともあうものだ。
遺伝子の延長された表現型と考えられる都市においては、様々な人が多数集まる。人数が多くなればそれだけミームも分散しやすくなり、ノウハウと科学知識といったミームは高度にしかもより速く進化する。進化したミームは今までに経験したことのない環境を作り上げる。環境の変化が劇的であればそれだけ淘汰圧が強くなり、遺伝子変異にも大きな影響を与える。
大げさに言えば、都市が進化を加速する、だろうか。