2010-01-01から1年間の記事一覧

宗教と職業は遺伝子変異を起こすか

参考文献 一万年の進化爆発 グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング著参考文献によれば、アシュケナージ系ユダヤ人の知能が高いのは、隔離と職業制限のためだと言う。 まず、ユダヤ教の存在が他宗の信者との結婚を制限した。これにより、他宗の信…

都市化と遺伝子変異

いくら都市化が遺伝子の変異を加速するといっても、遺伝子変異が広まって固定化するには数世代では無理だ。しかし、遺伝子が生み出した科学技術は、直接遺伝子を操作するという段階に入りつつある。例えば遺伝子治療という言葉はもう定着しているはずだ。こ…

都市が進化を加速する

参考文献 一万年の進化爆発 グレゴリー・コクラン、ヘンリー・ハーペンディング著蔵さんに紹介して頂いた本である。なお、進化論の書評で有名なshorebirdさんも書評されている。本書の趣旨は、人類は進化を止めておらず、遺伝子が作り出した環境により遺伝子…

アフリカに形成された都市

アフリカの悲劇で、アフリカには都市が形成されなかったと書いたが、もちろん戦後は次々と都市が形成されている。人類は気候や地理的な不利を克服するだけの技術を発達させたのだ。

なぜスラムは都市にできるのか

スラムはなぜ都市にできるのか。地方と比較して都市の方が単純に豊かだからか。都市の方がまだ衣食住にありつく機会があるということか。それとも地方では村八分にされるが都市では多数の一人として受け入れられるということか。

過密と一人になること

都市の利点は人の密度が濃いことだと繰り返して来た。しかし、顔を突き合わせてばかりではストレスもたまるだろう。こういうときは都市の希薄な人間関係の出番だ。仕事、趣味などシーンが切り替われば人間関係も変わるし、一人でいることもできる。考え事を…

都市の本質は情報・ミームなのか

設備だけあってもうまく行かないのだから、都市を大きな建物が集まっているものなどと捉えるべきではない。人々が集まっていることにより人的資本(知識、文化、ミーム)が効率的に利用されていることに都市の本質があると考えるべきである。つまり情報がス…

The Rational Optimist邦訳出版予定

参考文献 ダン・ガードナー著 「リスクにあなたは騙される」 、サンドラ・ヘンペル著 「医学探偵ジョン・スノウ」蔵さんのエントリで名前を挙げていただいた。蔵さんには、いつも知的な刺激を与えて頂いて感謝している。リバタリアニズムという共通点以外に…

水道水から塩素を抜くと

参考文献 ダン・ガードナー著 「リスクにあなたは騙される」 P362より南米で水道水から塩素を抜いたところ、コレラが蔓延した。腸チフスは水道水に塩素を入れるようになってから先進国ではほぼなくなった。塩素処理をすると確かに微量の発がん物質が発生する…

都市とリバタリアニズム

参考文献 山岸俊男著 『「安心社会」から「信頼社会」へ』 より『「安心社会」から「信頼社会」へ』で山岸は、知らない人を信頼する度合いがアメリカより日本の方が低い、ということを社会心理学的実験で実証している*1。また、本書において他者への信頼が高…

物流の効率性とコンテナ

参考文献 コンテナ物語 よりコンテナの発明で港湾での荷物の積み降ろしが極めて効率的になった。船が大型化するにつれて接岸できる港が限られてきた*1。港に停泊する時間もきわめて短くなってきた。船から降ろされたコンテナはそのままトラックに乗るように…

無文字社会と推論

参考文献 ゲアリー・マーカス著 「脳はあり合わせの材料から生まれた」より人間が明示的な論理に基づく推論ができるのは、生まれつきではなくそれが学習できるほど賢いから。 無文字社会の人々はおおむね、三段論法に関する質問に対して自分がすでに知ってい…

時間の価値

以下の話はデータに基づいているわけではなく、本当に思ッタコト。価値のあるものって何だろうと考える。お金だろうか。健康だろうか。時間は寿命という意味で限りがあり、過ぎた時間は取り戻せない。経済学的にも希少性のあるものと言っていいはずだ。機会…

人間の空間認識と立地と

参考文献 コリン・エラード著 イマココより人間の空間認識は、距離や角度が正確ではなく、大雑把な位置関係やランドマークが重視されている。ちょうど風船の上に描かれた地図のように角度も変われば距離も伸び縮みするのである。また、水平・垂直を重視する…

増加する農地

ブラジルのセラードは元々農業には全く向いていない不毛の土地であったが、鶏糞や石灰分を投入することで大豆やコーヒー豆の生産地となった。今も開墾は進んでいる。たとえ生産性が向上しなくとも、少なくとも当面生産量を増やすことは可能である。つまり、…

農業の生産性と食料危機

参考文献 ビョルン・ロンボルグ著 「環境危機をあおってはいけない」、アマルティア・セン著 「人間の安全保障」・「貧困の克服」より人類が農業を始めて以来、着実に生産量、生産性は高まっている。この先どこまで生産性が高まるかはわからないが、少なくと…

都市と市場は相性がいい

都市がなければ自然と市場も小規模のものになり効率が落ちる。共産国家を思い出せばわかるように、市場のない都市というものはありうるが、都市の最大の利便性である物や情報の効率的な流れは滞ってしまう。 一人一人の行動はよく考えてのものでありうるけれ…

私的所有権の重要性

参考文献 猪木 武徳 著 戦後世界経済史 より 旧東ドイツが統合後に投資が伸びなかった理由。ナチスの略奪や共産化の後では設備・土地の元々の所有権がはっきりしなかった。土地などに投資しても後から所有者が現れる可能性もあり投資しにくい環境であった。…

村の連帯から都市の匿名性へ2

前回も書いたように大多数の人々が都市に流れることから、連帯意識より匿名性の高い生活が好まれることは明白だ。連帯意識が薄れたということが話題になる度に違和感を感じてしまう。連帯意識はある水準から外れることを許さない。怠けるにしても飛び抜ける…

村の連帯から都市の匿名性へ

タイトルはあまりにもステレオタイプであることを自覚しつつ都市論を続けてみる。小規模の集落では連帯意識が強かったというのは群れを作って生き抜いてきた人間の行動として自然だろう。では、匿名性の高い、資本主義社会・都市生活というのはどうなんだろ…

言語の力・文字の力・ミームの力

人間と動物を分ける大きな境の一つが(複雑な)言語の存在だろう。文明の発達の原動力の一つが言語であることは間違いない。タイトルで言語の力と文字の力を分けたのには理由がある。文字がなくても都市を形成した例は存在するからだ。参考文献*1によれば、…

合理的精神の発達

参考文献 マックス・ウェーバー 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」、山本義隆「磁力と重力の発見」三部作よりウェーバーは、カルヴァン派の唱える予定説が禁欲的かつ合理的に日々仕事に邁進する人間を生み出し、これが資本主義発達の大きな要…

中国はなぜ発展しなかったか

参考文献 トマス・ソーウェル 「征服と文化の世界史」 第6章 総括p542、小室直樹「日本人のための宗教原論」第6章より儒教は伝統重視であった。科挙は試験に合格すれば出世できるという点で画期的だったが、内容はテキストの暗記だった。また、中華思想には…

プロ農家

参考文献 日本は世界5位の農業大国統計上、日本の農業の生産性が低いように見える原因の一つは、高齢者による自給のためのあるいは趣味のための農業である。これを除いて考えると産業としての農業は強い。

アフリカにおける発展した国と発展しなかった国の違い

参考文献 トマス・ソーウェル「征服と文化の世界史」 アフリカ人よりガーナでは、天然資源が豊富にあったにもかかわらず、政府介入的な政策のため、植民地支配からの独立後は低迷した。 コートジボアールでは、植民地支配から独立後もフランス人を放逐するこ…

アフリカにおける奴隷の捕獲、その後の扱い

参考文献 トマス・ソーウェル「征服と文化の世界史」 アフリカ人、ウィリアム・バーンスタイン「華麗なる交易」より最初に断っておくが、奴隷制に賛成ではない。奴隷制の悲惨な実態をメモしておくことにより、いかに自由が大切か示すことができたらと考えて…

地形と文化の伝播

参考文献 トマス・ソーウェル「征服と文化の世界史」、ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」よりユーラシア大陸は主に東西に広がるため、動物が移動しやすく、農耕の技術も伝わりやすかった。 南北アメリカ大陸は南北に広がるため、途中に熱帯が存在す…

都市の力と遺伝

都市の力はやっぱりすごい。 ランズバーグの「フェアプレイの経済学」、バーンスタインの「豊かさの誕生」でも強調されていることだが、人が多いほどその中で新しいアイディアを思いつく者が増える。また、アイディアとアイディアがぶつかり合うことで進歩が…

設備だけあってもうまく行かない

参考文献 トマス・ソーウェル 「征服と文化の世界史」 第6章 総括p478, 485より植民地が貧しいのは搾取が原因ではない。もし植民地が貧しいのが搾取が原因なら、帝国の撤退の後、植民地は豊かになるはずである。だが、イギリスからローマ人が撤退した後、道…

イギリスにおける自由の発達

参考文献 トマス・ソーウェル 「征服と文化の世界史」 第2章 イギリス人 p144よりイギリスでは、一般投票により国会議員を選ぶようになる前から、言論の自由、権力の分立、裁判権など自由社会における諸々の要素が存在していた。従って民主主義と自由主義は…