なぜ低所得者層の肥満率は高いのか

ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学を読んで人間行動の撹乱について考えてみた。

「ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学」によれば、低所得者層の肥満率は高いらしい。これは古典的な経済学による分析より人間行動から考える方がわかりやすい。肥満やギャンブル依存、アルコール依存などは、どのくらい先のことを重要視するかにより、なりやすさが左右される。とすれば、低所得者層に肥満が多いことも不思議ではない。低所得者層の大半は、将来のために貯蓄すること、人的資本を高めること(つまり我慢して勉強すること)などが苦手なのだ。従って目先の快にとらわれ、将来にトラブルを生み出してしまう。

先のことをどれくらい重要だと見積もるかの差で成り立つビジネスをもう一つ挙げて見よう。
サラ金もそうだろう。これもどのくらい先のことを重要視するかによりうまく利用できるか地獄に堕ちるか決まるだろう。時間の経過で金利がどの位効いてくるか、将来予期せぬことが起こって返済に困らないか、今買いたいものは将来も必要と思うか等、未来の自分でもより先の自分と対話できるほどトラブルを起こしにくいはずだ。

時間ではないが、人間の心理をうまく利用することで利益を上げているビジネススタイルもある。ドンキホーテIKEAのような巨大で迷路のような店舗だ。回っている間に意外に時間が過ぎてしまい、投資した時間を取り返したくなる心理のため、ついつい買いすぎてしまう。最近眼につく巨大な書店も同じだろう。

どれもわかってしまえば簡単な仕掛けであるが、人間の生物学的な基盤に関係しているため引っかかりやすい人はいつまでもなくならない。