「茶の世界史」を読む

参考文献 茶の世界史  角山 栄 著

気になったところ
ヨーロッパに最初にもたらされた茶は中国からではなく日本からで、東洋の神秘・東洋の進んだ文化として捉えられたが、豊かになるにつれて茶は商品化していく。中国やインドの茶に日本茶は負けてしまう。ヨーロッパでの茶の扱いは賛否両論であった。また、日本から茶が大量に輸出されるようになったときは、着色・混ぜ物・質の悪さのため評判が悪かった。

コメント
産業革命までは、日本・中国の方が文化が発達していたとの記載は印象的だ。「10万年の世界経済史」の記載といささか矛盾するようだが、私の関心はどうしてヨーロッパで産業革命が起きたかに関心がある。資本の蓄積が要因なら中国や日本で産業革命が起きなかったのはなぜか。
ヨーロッパに茶が広まり始めたときの扱いはまさに現代の「ドラッグ」である。現代のドラッグに付いて考えたい人はこの本も読むべきだと思う。
今でこそ日本の製品は高品質を売りにしているが、当時の茶の評価は今の中国製品の一部と同じであることを忘れてはならない。交易が盛んになると信用されないものは市場から駆逐されてしまう。いずれ中国の製品も信用できるようになる時が来るはずだ。