職人の経験って

製造業の分野で、職人の経験や暗黙知のようなものがあることは否定しない。ただ、本当にその仕事を大事に思うなら、データ化して後輩が習得しやすくするような努力も必要だろうし、そのことでその仕事が生み出すものをもっと多くの人に届けることができるだろう。最終的には特許が絡んでくるが、少なくとも社内で伝えることを真剣に考えるのも悪くないだろう。

最近、知り合いから聞いた刀鍛冶の話を取り上げてみよう。刀鍛冶は鍛えた鉄を冷却する際に水を利用する。その水の温度を知ろうとして手を突っ込んだ弟子の手を切り落としたという逸話*1があるらしい。水の温度は秘伝だから自分で試行錯誤しないとだめだという話らしい。
このような話を聞くと、刀鍛冶という分野が衰退したのはこのせいか、などと考えたくなる。まあ、刀狩りや戦後の政策の影響の方が大きいのだろうが。上にも書いたように、本当に自分の仕事が大事なら、もっとオープン化というものを考えなくてはならないはずだ。
その刀鍛冶は自分の権威を守るために弟子を犠牲にしただけであろう。

*1:実話かどうかは知らない