自由の構造(6回目)

書評の続き
第13章は多中心的立憲秩序について検討している。現在の裁判所に当たるもの(裁定する権力)と行政に当たるもの(法律を執行する権力)の民営化及びそれが多数競合している状況が必要だと考えているのである。予備知識がなければ裁判所や警察、行政組織の民営化などピンとこないかもしれない。ここはアナルコキャピタリズムの最も特徴的な部分であり、ロスバードの「自由の倫理学」やDDフリードマンの「自由のためのメカニズム」、蔵氏の「無政府社会と法の進化」が参考になるだろう。バーネットは、多中心的立憲秩序が成立するためには非徴収原理*1と競争原理*2が必要だと考えている。司法機能に関しては、この二つの原理により正義と公正さが確保されると考え、裁判所の衝突についても考察している。また、第12章で考察した問題についてもうまく対応できることを示している。
第14章は、SF小説風になっており、多中心的立憲秩序の世界を描いている。この部分は蔵氏の「無政府社会と法の進化」と似ており読み比べるべきだろう。

*1:税金としてお金をとるのではなくサービスの対価としてお金を得る

*2:権力が独占されていない