自由の構造(4回目)

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第10章から第三部に入る。第三部のテーマは「権力」である。この辺りからリバタリアニズムの本らしくなってくる。
第10章では、法執行の誤りの問題を扱う。これは正義と法の支配の遵守を実現するための権力行使が、誤った判決により無罪の人に課すコストについて考察する。人間の権利を重要視すればするほど権力が増大し法執行の誤りのコストが増えると説く。また懲罰的な刑罰より損害賠償を重視することの利点を解説する。
この辺りについては、竹内靖雄の「法と正義の経済学」などを併読するとわかりやすいかもしれない。懲罰で被害者の感情はいやされても経済的な損失は何も回復しないという事実について詳しく解説している。また、この懲罰か賠償かという問題については、リバタリアンの中でも意見はさまざまである。ロスバードは2倍の賠償を唱え、バーネットは同額をよしとする。DDフリードマンは確かロスバードに異議を唱えていたような記憶がある。蔵さんの刑罰論については「無政府社会と法の進化」に詳しい。興味がある方はぜひどうぞ。

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