地名と動物と

動物の名前のついた地名を目にすることがある。しかも固まっていることが多い。麻布十番周辺には、狸坂、狸穴(まみあな)、狐坂という地名がある。千駄木にも、狸坂、狐坂、狢坂がならんでいる。ほかにも、猫又坂などという、動物というより幽霊坂の仲間に分類すべき地名もある。
タヌキの穴と言っても、実際に穴を掘るのは、狢(むじな)とも呼ばれたアナグマである。同じ穴の狢というのは、猟師に追い立てられるとタヌキと風貌のよく似たアナグマが穴から飛び出したり、アナグマの巣を乗っ取ったタヌキが飛び出したりしたことによるらしい。もっとも、アナグマはタヌキに巣を乗っ取られるとそこを放棄するそうだから同時に飛び出すことはなさそうだ。
アナグマを「マミ」と呼ぶのには諸説あって、本当に食べて美味しいのはタヌキではなく、アナグマなので「うまみ」からきているというもの、豆狸からきているというものなど様々。また、「マミ」と言っても、雌のタヌキをさすこともあればムササビをさすこともあり一定しない。しかし、穴を掘るのはアナグマと考えていいだろう。
ちなみに、タヌキは原始的な犬の仲間であるが、アナグマはイタチの仲間。風貌に関して言えば、タヌキはアナグマよりもアライグマに似ていると思われる。完全な余談だが、アニメの「あらいぐまラスカル」はアライグマを育てた実話が元になっているが、キャラクターとしてのラスカルの姿はレッサーパンダに似ている。さらに余談だが、ジャイアントパンダが有名になる前の日本では、単にパンダと言うとレッサーパンダをさしていた。