市場の予測力

市場とは、参加者の判断の集積であり、たいていの場合個人の予測よりも当たることが多い。また、市場にはみんなが気付いていない重要な情報を伝達する力もある。今回の地震でその力は生かされたのか。
今回の地震で、津波で被害を受けた人や原発周辺に住んでいた人にはどれくらい責任があるか、政府、東京電力それぞれの責任はどうかと考え始め、上の問題に行き着いた。住民の自己責任というものを考える場合、そこで生活した場合にどれくらいリスクがあるか判断する材料があるかどうかということは重要だろう。その意味で家賃や地震保険の費用は重要な指標になるはずである。「ヤバい経済学」にも家賃でその地区を評価する話が出てくるが同じ発想だ。リスクが高ければ家賃は低下し、保険の費用は上がるはずだ。だが、日本の場合この市場は政府の介入によりあてにならなくなっている。原発周辺は補助金で整備され住みやすくなっている。このため家賃は上がる可能性がある。保険は政府の介入により自由に費用を設定できない。
その意味でリバタリアンたる私も住民の責任は問いにくいかと考えている。いつもと同じオチだが、政府の責任は他の人が考えるより重いと考える。真に住民のことを考えるならリスク評価にも市場の力を導入すべきである。