銃・病原菌・鉄

ジャレド ダイヤモンド著
上下二巻の大作。主に環境要因と文明の進歩の関係を論じたもの。展開がやや強引な気もするが、確かに、集団生活を始めなければ文明も発展しない、集団生活には定住が必要、定住するためには食料をどうするのかと考えると、この本は文明発達の必要条件についてはよくまとめていると思う。十分条件についてはまとめにくいのだろう。
要約
定住集団生活を開始するには、狩猟のみでは集団を維持できず、農業生産が必要である。そのためには、気候が農業に向いていること、栽培しやすい野生種が元々存在することが必要である。技術は気候が似ているため東西に広がりやすい。南北だと気候が違い、農業に関する技術は広まりにくい。技術の発達した集団が戦闘と言う形で技術の遅れた集団を襲うことがある。しかし、家畜に接することで病原菌に耐性のできた集団は、家畜を飼う習慣のない集団つまり技術の遅れた集団を伝染病という形で絶滅させてしまうことがある。
文明論・進化論などが好きな人にはお勧め。精神面から文明の発達を扱った本に「天才と分裂病の進化論」があり、統合失調症と意識を扱った本に「神々の沈黙」がある。これらもお勧め。どちらも後で感想をアップする予定。