面積

小学校の頃、円の面積を求める公式はどうやってできたんだろうと思っていた。円以外でも、ぐにゃっとした形の面積がきちんと測れるということが不思議で仕方なかった。今考えると、その頃既にヒントは与えられていた。小さなタイルを円の中に敷き詰めて「だいたいの」面積を求めるのだ。子供心に所詮「だいたい」でしかないとは思っていたのだが。高校に入って積分という概念を学んで一部納得した。単純に積分で求められるということに納得したのではない。面積を求めることができる図形で近似して極限をとることで面積を求めることができる。この操作はなんだか腑に落ちたような気がした。
しかし考えてみるとこれはあまりに直感的な議論でしかない。極限の存在自体は別の問題としてあるし、厳密にはεδ論法で話を進めなければならない。また、「はさみうちの原理」として使用していたアイディアも本来は証明を必要とする事柄である。それにそもそも高校までで扱っている面積の概念自体、無批判にユークリッド空間を前提としているはずである。下手をすると公理系の話に迷い込んでしまう…。
結局子供の頃の疑問は深さが変わりながら今も残ったままだ。