自由市場の道徳性(2回目)

第二部は、第三章と第四章からなる。
第三章では市場の機能に焦点が当てられる。オーストリア学派は市場の情報伝達機能を特に重視する。シカゴ学派もこの機能については認識しているが、オーストリア学派、特にハイエクは、個人がそれぞれ不完全な情報を持っていてその情報をもとに行動することを重視する。また、オーストリア学派は市場から企業家が生まれると主張する。続いてシャンドは市場に対する批判を整理し答えている。この章でオーストリア学派の市場観がわかる。独占企業に対する考え方の違いなども興味深い。
第四章では、市場と道徳性の関係について論じられている。この章は市場を擁護するリバタリアンの考えが簡潔にまとめられている。しかも過度に市場を賛美することはなく冷静にまとめている。私見であるが、第三部、第四部が各論だとすればこの章は総論のような意味合いもあるように思えた。