市場対国家 上下

ダニエル・ヤーギン ジョゼフ・スタニスロー著
国家*1が様々な形で市場に介入すること、あるいは、市場のない共産国家では国家そのものが計画・生産・分配を行うことについての問題点を丹念にまとめあげている。丁度今の郵政民営化にタイムリーな内容である。*2上下あわせての大雑把な結論は、完全に市場任せも、過剰な国家の介入もよくないということだ。これは産業に限ったことではなく福祉に付いても同様の結論が導かれている。
感想
これからの経済システムのあり方としては、程よい規制、程よい介入が必要ということになろうが、実際、「程よい」とは難しい問題である。今は世界的に規制緩和・民営化の流れだが、突発的な何かにより、逆行する可能性もあるだろう。また、国家とて、ない袖は振れない。今後も福祉に重点を置こうとすれば、最終的には増税が必要になる。それが経済成長・国家のあり方にどう影響するのか、現在の日本の課題だと思われる。
そういう意味では、郵政民営化だけではなく、今回の選挙では税金のあり方、年金制度についても論じてもらいたいものである。

*1:この内容なら自治体も含めることができる

*2:読んだ時期が重なったのはたまたまだが